「そもそも」の話を職場でどれほど交わされているか
こんにちは。
オン・ストレングス代表 丸本昭です。
先週、先々週と東京会場・福岡会場で、早稲田大学マニフェスト研究所人材マネジメント部会第4回研究会に参加しました。
参加自治体が作り上げた組織改革プランについて、対話を通じてブラッシュアップするのが目的です。
その中でいくつもの自治体から話が出たのが、自治体職員としての意識が薄い職員が多いという話。
台風15号、19号、その後の大雨と、多くの地域で災害が起こっています。
未だ復旧に至らないところも多く、何度も被害を受けた地域など言葉にもならない状況です。
中には自分の自宅が床上浸水で被害を受けながら、手を付けることなく市民の被害状況把握に走り回る自治体職員もいらっしゃいました。
東日本大震災の時もそうですが、非常時に自分のことはさて置き市民のために働かないといけないところが、自治体職員としての真価でもあり大変なところでもあります。
そんな中、最近は災害対応の動員に出たがらない職員が増えてきたという声も聞きます。
もちろんいろんな家庭の事情もあるのでひとくくりにできないものの、傾向として強くなってきた感じがします。
国勢調査の調査員に協力しない、選挙事務を断るなど「お互い様」の気持ちがなくなってきたこともありますが、
それ以上に「そもそも自治体職員とは何か」ということを語り合ってないことも大きな一因ではないでしょうか。
人マネの加留部幹事が言っていましたが、前職のガス会社では災害復旧で1軒1軒自宅を回るときに、必ずベテランの職員と若い職員が一緒に回っていたそうです。
ガスが復旧し使えるようになったときのお客様の喜ぶ顔を見せて、ガス屋としての使命感を感じてもらう。
そんな気持ちを若手に引き継いでいくためのものだそうです。
普段の仕事の先にある、お客様の顔を意識してもらうためのものかもしれません。
私たちの仕事は担当ごとに細分化され、市民の顔を見ることも少なくなってきました。
手元の仕事だけやることを「作業」と言います。
その先にある市民を意識することで、同じことをするにも「仕事」と言える思いと工夫と気配りを伴った役割を果たすことができるのではないでしょうか。
最近の自治体でそんな意識が薄くなってきたのは、
「そもそも」という話をする機会がなくなっているからです。
職員数が少なくなり、市民の目が厳しくなって、日常的に雑談する機会が減っています。
飲酒運転防止のかけ声から、飲み会の数もずいぶん減りました。
これまで「そもそも役所の職員とは」という思いを先輩から後輩に伝えていた機会が、
その中で失われてきています。
上司、先輩も、そんな上から目線な話をすると煙たがれるので、あまり話さなくなりました。
その結果、自治体職員の仕事が「ふつうの仕事」になってしまったのだと思います。
職場で手を止めて話をする機会を増やす、
オフサイトミーティングのように気軽に想いを伝え合う場を作る、
退職する職員から体験や想いを聞く場を作るなど、
「そもそも役所の職員は」という話を、ぜひ職場の中で意識して重ねてほしいと思います。
そして職場の外に出て、自分の仕事の先にいる市民の方とも話をしてほしい。
その積み重ねの中で、自治体職員としてのやる気や誇りが生まれます。
そう。
「自治体職員としての誇り」を持っているかが、これからは問われる気がする。
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