「公務員たるもの、どんな仕事もできるようにならなければならない」という幻想
こんにちは。
人と組織の強みを活かす、ストレングスコーチの「まるさん」こと、丸本昭です。
「公務員たるもの、どんな仕事もできるようにならなければならない。」
なんとなく、それが常識のようになっていませんか。
でも、ほんとにそうでしょうか?
自治体の仕事は同じ公務員とは言いながら、全く違った業務から成り立っています。
住民票や戸籍窓口のような、接客技術と法律に基づいて的確に可否を判断する能力が必要な仕事。
福祉のように、相手の気持ちにより添いながら、時には相手を説得する必要もある相談の仕事。
企画課のようにアイデアを形にし、また複数の部署の調整をする仕事。
農業政策のように、農家の人と一緒になって、どう稼ぐかを考える動く仕事。
シティプロモーションのように、まちの魅力をどうアピールするかを考え、民間の人を巻き込みながら外に打ち出していく仕事。
水道局のように、施設を安全に管理し、また使用料を確実に徴収する仕事。
などなど。
ひとつの部署でも多様な役割があります。
そんな仕事を、どこに行っても完璧にこなすことを求められる。
ほんとにそんなことが出来るのでしょうか?
ひとつの方法としては、「2つ専門分野と2つのスキルを持つ」ということをお勧めしています。
例えば私の場合、財政と福祉という専門分野、コーチングとファシリテーションというスキルがありました。
移動先でも財政課時代の知識で予算はやりくりできたし、児童虐待やDVの相談業務はコーチングスキルで何とか切り抜けてこれました。
2×2の専門分野とスキルがあれば、ある程度はやりくりすることはできます。
とはいえ、全ての分野で完璧に対応することは難しい。
過去にあったことですが、
「剣道七段、あご(しゃべり)八段」と言われるくらいしゃべりが上手く、社交的でいろんな人を巻き込むのが得意な職員がいました。
観光のように多くの人を相手にする仕事が得意で、外に出るのが大好き。
しゃべりの苦手な私からはうらやましい限りでした。
しかし保守的な役所の世界では、
「あいつは口だけだ。公務員たるもの事務がちゃんとできないといけない。」
と言われ、会計の仕事に異動になりました。
黙々と数字合わせをする仕事です。
元々数字が苦手でこれまでやったこともない仕事なので、失敗・間違いも多く、若い後輩にも馬鹿にされるようなことが続きました。
元気でエネルギッシュだった人が、段々と自信をなくし、平均より仕事ができない人になっていきました。
日本人は特に、苦手なこと、欠点を克服することを求めがちです。
しかし、苦手なことが出来るようになるには膨大な時間とエネルギーがかかり、失敗を繰り返すうちに自信を失うことが多くあります。
それゆえ、ストレングスファインダー®では弱みよりも強みにフォーカスし、お互いの強みを活かし合う組織を目指します。
役所もそろそろ「公務員たるもの何でも出来なければならない」という幻想を捨て、
その人の強みに応じたチーム作りを目指すべきです。