その先のビジョンを示さない「ケチケチ行革」は、多くの場合失敗する
こんにちは。
オン・ストレングス 丸本昭です。
今日の新聞では、いよいよ消費税率引き上げのPRを本格的におこなうとの記事がありました。
社会保障費が増大する中、消費税を上げないとまかないきれないということですが、
団塊の世代が後期高齢になる「2025問題」
団塊の世代ジュニアが退職する「2040問題」と、
おそらくは10%への引き上げでも追いつかないでしょう。
地方自治体の財政状況も同じです。
福祉関係の扶助費に多くの財源を回さざるを得ず、高度成長期に作った公共施設が一気に老朽化する中、
経常収支比率にみられるように財政は硬直化していきます。
人口減少と少子高齢化は、稼いで税金を納めてくれる人が減少し続けるという意味でもあり、税収は益々減少します。
そのような状況では財政が逼迫し、「行革(行政改革)をしなければ!」という声も上がってきます。
経費削減、
事務事業の見直し、
職員数の削減、
更には職員給与の減額にまで手をつけるところも出て来ます。
厳しい財政状況を考えると、その必要性も理解できます。
しかし、同時に考えなければならないことは、「その後に希望を持てる状況をどう作るのか」ということです。
それをビジョンとして職員に示さない限り、
職員のモチベーションが下がり、
自発的な事業見直しは進まず、
事務処理ミスなどのトラブルが増え、
市民も職員も不満ばかりという状況になります。
新しいまちづくりのアイデアを生み出すという気持ちも萎む。
結果、更に経費削減、職員数や職員給与の削減が必要になる「負のスパイラル」。
1990年代までの「行革」は、いわゆる「ケチケチ行革」でした。
財政課主導でおこなわれ、ひたすら「削る」ことを目的におこなわれました。
他の部署の職員は削られないように抵抗し、廃止された事業も名前を変えて復活させる欺しあい。
削る方も削られる方も、殺伐としてました。
その後、行政に「経営」という視点を取り入れようという流れが生まれ、
単に削るだけではなく、
施策や事務事業の目的・効果を職員同士、市民と一緒に考える「行政評価制度」
そもそも誰が担うべきかを考え見直す「市民協働」「事業仕分け」
などが始められました。
いずれも軸になるのは「双方向の対話」と「自発性」。
職員同士、市民との間の対話を続けながら、
どうすれば自分たちのまちが良くなるか、自発的な行動につながることが原動力です。
しかも1990年代と今が違うところは、
「ケチケチ行革」をした後も財政状況は改善しない
ということです。
歳入で見ると、
人口減少で税収が増えることはなく、
景気も現状維持が精一杯でしょう。
歳出を考えると、
高齢化による社会保障費の増加、
老朽化する公共施設の維持修繕など、
財政負担が増える要素は数多くあります。
3年間職員給与を減額したとして、おそらく3年後も財政状況は苦しいままでしょう。
今必要なのは「ケチケチ行革」ではなく、
もう一度役所のあり方をゼロから作り上げる作業です。
人口減少を前提として、
何をやって、何をやめるか。
技術革新を取り入れて、やり方自体を変えることも必要でしょう。
そのためには、現場の職員がその気になり、
現場の職員からアイデアと行動が出るようにしていかなければなりません。
そこに必要なのは、
お互いが安心して対話できる関係性と、
トップを含む経営層、管理職のマネジメント力です。
「3年間我慢してくれ。その間にこんな組織、まちにする。」
そんなビジョンと処方箋を示すことが、厳しい財政状況を乗り越えるスタートです。
ストレングスファインダー®やコーチングについてのブログも書いています。
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「ストレングスファインダー®で、人と組織の強みを活かす!
プロコーチ、自治体研修講師のまるさんのブログ
強みの上に自らを築く」