まちも組織も、強みから始める
久しぶりの自治体向けのブログです。
自治体向けといっても、企業も含めどこも共通するかもしれません。
それは、まちづくりも、組織作りも、そして人材育成も「強み」から始める
ということです。
現在私は、「地域経営部会」という人材育成プログラムに参加しています。
全国50余りの自治体から3人一組で参加していただき、
一年間かけて「まちのありたい姿」⇒「それを実現するための戦略」
⇒「その戦略を実現できる人・組織のあるべき姿」⇒「その人・組織を作り上げる取り組み」
を考えていきます。
その一年間のプログラムに指導者役として伴走させてもらっているのですが、
ある自治体参加者との対話の中で、上記のことを実感しました。
それは山梨県のある自治体ですが、「まちのありたい姿」について、
当初は全国どこにでもあるようなビジョンを描いていました。
「残念だなあ」という思いでいろんな問いを出していく中で、
中盤も過ぎようかと言うときに、
「ゼロから見直しました。見てください。」という依頼が。
読ませてもらうと、役所内だけでなく、地域の人との対話から
まちの強みに基づいた、その自治体ならではのビジョンが描かれています。
そのまちは移住定住者が多く、ある人が5階建てのビルを改修してお店を始めたり、
その人に惹かれて別の若い人が移住してきてお店を開くなど、商店街に活気が出てきています。
南アルプスや八ヶ岳があり、ワインの産地であることから、
移住定住者にとっても魅力的なまちです。
そんな自分達のまちの強みを柱にして、
まちのビジョンや戦略を見事に描いていました。
本人達も楽しそうに語っていました。
また別の自治体ですが、心理的安全性の高い職場を作りたいと言っていました。
職員アンケートを採ったら、
7%の人が職場の人間関係が「悪い」と感じているとのこと。
「ここを何とかしたい」と言っていたのですが、
聞くと92%の人は関係性が「良い」と答えている。
「100%の人が「良い」と答えることはなく、92%も「良い」と言ってるのは、
自分達の組織の強みだと言うことでは?」と尋ねると、
「悪いところだけ見てました。これ、強みですよね。」との返事。
「この強みを活かしてどんなことができるのか、また三人で考えてみます。」
という返事が頼もしい。
人は欠けているところ、課題に目が行く動物です。
リスクをなくすことで安全を確保するという
動物としての本能なのかもしれません。
ただ、課題は常に山のように生まれてきます。
モグラ叩きのように課題潰しばかりしていても疲弊するので、
まず自分達の強みは何か、
その強みを活かす方法にはどんなことができるのかを
ぜひ考えて欲しいと思います。
それを活かしていくためにも、
「ありたい姿」から逆算していく
バックキャスティング思考も必要になります。