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組織に“強みの文化”を根づかせる6つの戦略

 

 

ストレングスを組織の中に取り入れたい。

強みを認め合い、個の強みからチームの強みに広げて行きたい。

そう思い、しかしなかなか上手くいかず悩める方も多くいらっしゃいます。

 

私が運営しているFacebookグループ、

「ストレングス・シェア会 for business」

でも同様の悩みが交わされ、そんな中でも試行錯誤する取り組みを情報交換しています。

(こちらもぜひご参加ください。メッセージもいただけると有り難いです)

 

そんな中、GallupのYouTube「Called to Coach」で、組織への展開の方法について語られていました。

今日はそのテーマ、

「Six Proven Strategies to Introduce CliftonStrengths to Your Organization」について、

補足も加えながらご紹介したいと思います。

 

 

あなたの組織はどの段階にあるか

ストレングス導入を語る前提として、Gallupの学習・開発分野の第一人者であるDean Jones氏は次の問いを投げかけます。

「あなたの組織は、強みの旅路のどこにいるのか?」

 

ストレングス導入のプロセスは、以下の3段階で整理されます。

フェーズ1:導入(Introducing CliftonStrengths)

ここは、一般的におこなわれているストレングスファインダーを使ったチームビルディングや、ストレングス講座を実施した段階です。

 •組織内でストレングスの「言語」を広げることに焦点を当てる。
 •メンバー一人ひとりが自分と他人の強みを認識し始める。
 •ワークショップやニーズ調査など、形式的な学びが中心。

 

フェーズ2:能力構築(Building Capability)

社員が自分の強みを仕事で意識的に使っている、チームの中でお互いの役割分担を強みにより構築したり、相乗効果を生み出そうとしている段階です。

「強み」が日常業務において自然に使われるようになています。

《 2つの方向性》
 個人の能力構築(自分の資質を活用する戦略を持つ)
 組織としての能力構築(強み文化を全員で所有する)
 例:「自分の強みを使ってチームをどう支えるか」といった対話が自然に生まれる。

 

フェーズ3:定着・制度化(Embedding)

制度や組織風土の中に、ストレングスが組み込まれている状態です。

人事制度のパフォーマンス管理として、強みをフィードバックしたり、資質を磨き上げることが制度としておこなわれている段階です。

 •オンボーディング、マネジメント育成、評価などに強みが埋め込まれる。
 •強みの浸透は「仕組み」の一部になる。
 •キーになる人が退職しても、文化が失われない状態。

日本の多くの企業・自治体は、フェーズ1の段階が多いと思います。次のフェーズ2にどう移行させるかが今の私のテーマです。

 

導入のアプローチとしての「6つの戦略」

《前提》

動画の中では、導入アプローチとして次の6つの戦略が示されています。

 1.リーダーから始める

 2.マネージャーから始める

 3.特定の部門・チームで導入

 4.オンボーディングに組み込む

 5.パフォーマンス管理に組み込む

 6.草の根的に組み込む

の6つです。

 

《ここで注意!》

6つの戦略は、導入プロセス(順番)ではなく、組織ごとの状況に応じて選ぶべき入り口だと言われています。

また、複数の戦略を組み合わせることも想定されており、全体的な導入設計の柔軟性が重要とされています。
理想はトップから。しかし、それがダメだったからと言って諦めるのではなく、他の戦略を持つことが重要です。

組織の状況はそれぞれ違います。自分の組織に合ったやり方で、しかも複数のアプローチを組み合わせて進めると、「強みの火」はより広がりやすくなります。

 

1.リーダーから始める

経営層(CEO、CHRO、事業部長など)から導入する方法です。

スピード感を持って展開できること、組織ビジョンとストレングスを結びつけることでより浸透させることができることが強みです。

私がお世話になっているA社では、「階段掃除は上から」というかけ声で、まず経営層から導入されました。

その後全社的にストレングスのワークショップを展開し、年初の事業発表会では自分の資質と共に目標発表をされています。

 

動画の中では、まず1on1のエグゼクティブコーチングを実施することを薦めています。

自分の強みを認識し、それを活かしてやってきたことを体感することで、ストレングスへの熱意が生まれるからです。
経営層が自ら資質を体感し、その価値を語れるようにすることで、継続的に組織にストレングスを展開できるようになります。

 

2.マネージャーから始める

Gallupの調査では、従業員エンゲージメントの70%はマネージャーの影響によると言われています。

それほどマネージャーはパワーを持っています。

この階層に取り組むことで、強みに対する意識は格段に強まります。

 

ストレングスファインダーをマネジメントに取り入れることは、マネージャーにとっても大きなメリットがあります。

ストレングスファインダーは「人を理解するためのカンニングペーパー」と言う言い方もあります。

「個別化」上位の人なら自然とおこなっている相手に合わせたカスタマイズした関わり方が、部下の資質を知ることで意識的におこなえるようになります。

部下にとっても対話の質が高まり、「見てもらえている」「理解されている」と感じることで、チームのエンゲージメント、定着率が改善します。

マネージャーはチームのパフォーマンスの最も近いところにいます。マネージャーが変われば組織のパフォーマンスも大きく変わってきます。
またそうなるためにも、資質を部下との関わり方に落とし込むトレーニングが必要となってきます。

この「マネージャーから始める」というアプローチは、今の私の一番の「推し」です。

 

3.特定の部門・チームで導入

いきなり全社に導入しようとすると、そのための説明・説得・準備などとても高いハードルを越えなければなりません。

まずスタートさせることを考えると、特定の部門からスタートすることもお薦めします。

 

私の知人のコーチが取り組んでいるB社は従業員1万人を超える大きな企業ですが、本部長が率先して取り組むことでその部署での展開が一気に進みました。

全社導入の前に1つのチームや事業部でスモールスタートさせる方がスピード感があること、成功事例と学びを得て、全社展開に向けたモデルを構築できる、説明がしやすいこと等がメリットです。

 

この動画の中で強調されていることがあります。

それは、「試す」のではなく、「どのように導入するかを学ぶ」ことを前提とすること。

「試す」だと、「あそこだからできた」などの言い訳が出てきます。

最初から全社展開に向けたステップを決めておくことや、トップのコミットメントが大切になります。

 

4.オンボーディングに組み込む

新入社員は積極的に学びたい、適応したいという思いが強い分、より早くストレングスを吸収します。

また「成長したい」という意識の強い世代でもあり、「あなたの特徴的な才能を知りたい。その才能を伸ばし、成功させたい。」というメッセージを伝えるストレングスは、新入社員の定着という点でも効果的です。

Gallup社では入社前にストレングスファインダーを受検し、入社後4ヶ月で自分の強みを理解し、意識して活用するためのプログラムを実施しています。

 

この際に一番注意すべきことは、その新入社員の上司についても、強みのフィードバックができるようトレーニングをおこなうことです。

強みを一緒に話せる上司がいない場合、せっかくのオンボーディングのトレーニングも忘れ去られていきます。

私の関わらせていただいたC社では、新入社員研修でストレングスの講座をおこなっていました。

一年後にその時の新入社員の方と会い話を聞くと、今でも自分の資質を意識して使っていると話されていました。

その会社では、職場単位でのストレングス講座も合わせていおこなわれています。

 

5.パフォーマンス管理に組み込む

冒頭のフェース3「定着・制度化」のフェーズになります(オンボーディングもそうですね)。

ここで「人事評価」と言っていない点に注意してください。

組織の評価制度が成長志向でない場合、評価制度に取り入れると「弱みをどうにかしなさい」というようにマイナスにはたらく場合があります。

部下の成長と目標達成に向けて、持っている強みをどう活かしていくか、伸ばしていくかを一緒に考えるツールとして活用します。

ストレングスを使うと、個別フィードバックや目標設定の質を向上させることができます。

部下の個別の特性に合ったフィードバックをすることができるので、より成長につながることも期待できます。

 

6.草の根的に組み込む

動画の中では、「これが一番多い」と笑っていました。

どこの国も同じような悩みがあり、試行錯誤しているんですね。

これは、一人の社員やコーチが起点となり、口コミで広がるパターンです。

知人のストレングスコーチは、会社員時代、知り合いに個別に声をかけて勤務時間外に私的なワークショップを数多く開催していたそうです。

そうやってコツコツやっているうちに、それを受けた部門の責任者の方が、「これ、うちの部署でやろう!」と言ってもらい、オフィシャルな取り組みになったそうです。

一人の熱意が、会社全体に広がった事例です。

 

注意点は、どこかで組織として「正式に承認される」手続きを踏むこと。

一定の段階で「組織戦略」として格上げする必要があります。

強みは“人を元気にする”だけでは足りない

Dean氏のラストメッセージは、とても力強いものでした。

「クリフトン・ストレングスは、“気分が良くなるツール”で終わってはいけない。
 組織の成功に貢献する、戦略的資産として扱われなければならない。」

 

強みを信じ切る「情熱」と、組織の成果に結びつける「戦略」と、両方が必要だと。

この両輪があってこそ、ストレングスは組織を変える力になります。

改めて再確認し、そのお手伝いをこれからも続けていきたいと思います。

 

《今日の問い》

 あなたの組織は、強みの旅のどのフェーズにありますか?

 


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■ストレングスコーチング
自己理解を深め、自分と上手に関わるうえでコーチングはとても有効です。強みを活かした目標達成、自分自身の価値やニーズを探求したい方など、お気軽にご相談ください。
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