対話の場を意図的に作る
こんにちは。
人と組織の強みを活かす、ストレングスコーチの「まるさん」こと、丸本昭です。
昨日、今日と熊本県高森町役場で管理職、監督職対象の人材育成研修でした。
天気のいい秋空で、役場への移動はドライブのようです。
高森町は阿蘇の山々がとても美しいところです。
目の前に中岳、根子岳が迫り、朝日や夕日を浴びる頃は山肌の印影が印象的な風景を作り出します。
こんな風景を毎日見ていると、人はどう影響を受けるんだろうと思いながら会場に向かいました。
今回の研修では、今後20年間の内外の環境の変化を考え、そんな時代を迎えるにあたり、管理職、監督職の役割を果たすために何をするべきかを一緒に考えました。
単に「人口減少」「AI導入」と一般論で丸めるのではなく、そうなることで具体的にどんなことが引き起こされるのかを映像が浮かぶように話し合ってもらいます。
「暗い話ばかりだ。なにか明るい話はないのか!」
という声もありました。
もちろん、その環境の変化を逆手にとって、自分たちのありたい姿を描き実現していくことができます。
しかし、日常の仕事に追われ、そんなこれからの変化やありたい姿を描くことなく時間だけ過ぎていくと、その変化に振り回される未来しかありません。
日頃お互いに未来の話をすることがないだけに、今回の対話の機会は貴重だったのではないかと思います。
部署のマネジメントの話の中で、若い職員に「公務員としてのそもそも」をどう伝えるかという課題が出されました。
昔はそれを飲み会の場でやっていました。
しかし、今は飲み会に誘っても若い職員はなかなかついてきてくれません。
職場でゆっくり雑談することもできずお互いがパソコンを睨んでいる環境の中で、そんな話の場をどう作っていくのか。
昔のようにできない以上、別の形でそれを仕組みとして取り入れる必要があります。
オフサイトミーティングという手法もあり、それはそれで意味のあることだと思いますが、組織全体で話ができる場が必要です。
以前高専の先生たちの研修をサポートしたことがあります。
それぞれが研究室を持ちお互いに顔を合わせることすらないという課題が出されました。
グループワークでアイデアを出し合う中で、コーヒーコーナーを作り、そこで雑談できる場を作ろうという意見が出されました。
たばこを吸う人は喫煙所でディープな情報交換をしているそうですが、喫煙しない人の喫煙場所みたいなものかもしれません。
また、ある児童相談所の所長さんは、職員が忙殺され経験を継承する場がないことを心配していました。
そこで執務室内に「お菓子コーナー」を作り、そこでコーヒーを飲んだりお菓子を食べたりしながらお互いに話ができる場を作りたいと話されていましたが、それも同じようなものかもしれません。
そんな物理的な「場」を作るというのも仕組みの一つです。
また、「自分もまわりもうまくいく! 公務員女子のおしごと帳」を書かれた諫早市役所の村川美詠さんは、
毎月、課長、課長補佐、各係の代表者1名(毎月交代)でお互いの仕事の状況を話し合う「雑相(ざっそう)」や、
1on1の面談を定期的におこない今の状況を聞く「旬聞く(しゅんぎく)」という取り組みをしています。
対話の時間を勤務時間内にきちんと取ることで、日常の報連相も豊かになるという考えだそうです。
オフサイトミーティングという勤務時間外の取り組みも、職員の自発的な対話の場として機能する方法です。
一方で、勤務時間外の自発的な対話が難しい状況では、勤務時間内に対話する時間を取ることを考えていかなければならないと思います。
オフサイトミーティング的なものを、勤務時間におこなうこともありです。
オフサイトではありませんが、世の中が変わっているのでしょうがない。
以前は自然とできていたことも、人や環境が変わる中では、意識して仕組み化していく必要があります。
そのことと併せて、日常の職場での短い打ち合わせ、声かけ、現場に出て行くときの会話など、今できることもあります。
そんな時間を使って、「そもそも」とか「これからは」という話をぜひしていってほしいと思います。
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